ゴームク巡礼記 その5
- 2 日前
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目覚めると空は快晴 ガンゴートリ寺院にて女神ガンガーに旅の安全を祈念して、万全のサポートのなか、わたしたちは最初の目的地、ボージーバーサへ歩みを進めました
<その4から続く>
知らない土地で朝を迎えると、目が覚めてから身体が動き始めるまでほんの一瞬です。
起きてすぐ寺院へ参り、これからの山行の安全をお祈りして、ガンジス河にご挨拶して、朝食までもう少しあったので早くから開いていた食堂でチャイを一杯。
電波がつながるのはここが最終地。
学院と家族とに最後の連絡を済ませ、宿の食堂で皆で朝食をいただき、部屋に戻りパックの仕上げをしました。
これからの二泊三日に必要ない荷物は預かってもらい、キャンプ地までポーターさんに持っていってもらう荷物と、自分で背負うリュックとともに、8時の予定時間にはロビーに集合できました。


昨夜には顔合わせが済んでいた、ガンゴートリからのガイド、ラマンさんが持ってきてくれたランチボックスをリュックにいれます。
ラマンさんは陸軍を大佐まで務めた後除隊し、仲間でトレッキングとクライミングをサポートする仕事を始めたのだそうです。
さすが、英語もきれいでてきぱき仕事が早い。
イケメンでやさしくて、誠実さがあふれ出るお人がら。
これでわたしたちを導き、助けてくれるのは、デリーからのスーリヤさん、リシケシからのアロックさん、そしてガンゴートリからのラマンさんとなりました。
ゴームクまでのルートは、ちょうどわたしたちの宿の前を通っていました。
ガンゴートリの目抜き通り、寺院までの参道から左手にのぼると、わたしたちの宿、マンダーキニ。
そこからさらに階段を上り、ヒマラヤ杉のそびえる斜面を横切り、ロバたちがわらを食む厩舎を抜けていくと、国立公園事務所までのトレッキングルートに出ます。
実は、わたくし、山登りは相当久しぶりです。
昨年20になった息子がまだ2歳くらいだったでしょうか。
背負子で背負ってヨーガ仲間で高尾山の6号路を登りました。
そのあと、ヨガ雑誌の依頼で富士山に上りました。
あとは、一昨年合宿の下見で御岳山にロープウェーを使って登ったくらい。
富士山を除けば、東京の小学生くらいしか山に親しんでいないのでした。
ということで、これを機にトレッキングシューズを新調しました。
靴底が厚く、足首があるので、細かい、やわらかい歩きはできません。
だから、自然とゆっくり、のっしのっしと歩くようになりました。
羽田やデリーの空港の、長い廊下を歩く時も、遠くを見て、気持ちよく歩けました。
ちょうど皆さんのスピードにもあっていたようで、誰も遅れることなくここまでやって来られました。
ヒマラヤ杉の木漏れ日の下、ガンゴートリの街を潤すであろう水道管がルートの脇を走っているのですが、ところどころで穴が開いて噴水を作っています。
青い空に白い雲。そして、噴水が作る虹。
昨日が雪で入山禁止なんて嘘のようです。
はるか崖下にはガンガが音を立てて流れ、目を上げると雪を抱いた峰がそびえ、道の脇には真っ白な野ばらが風に笑っています。
現実感を失いそうな天国感につつまれて、携帯電波圏から離れつつ、二泊三日の未知の高度へと登っていきました。

国立公園事務所まで着くと、ドローンを持っていないか、衛星電話を持っていないかを聞かれます。
入山許可は前もって谷奥さん経由でとってあります。
全員の生年月日があぴっろげに載った入山許可証が、全員にくばられていたのでした。
ルートはとにかく、ゆるーいのぼりがひたすら続くだけ。
わたしたちは、おのおのがちょうどよいペースで登りました。
先頭集団は、ラマンさんの仲間で、途中、上から降りてサポートにきてくれたネギさん、そしてケイさん。
ケイさんは、刀鍛冶をされているだけあって、筋骨隆々。
普段も修験道で有名な山に入り修行を重ねられているお方。
いつでもネギさんの次を難なくついていかれる安定した歩み。
そしてナス先生とマリちゃん。
マリちゃんはここ20年以上、毎月最低2回は地元宮崎の山々を歩いているベテランです。
数年前、マリちゃんがヨガ教室のナス先生を山にお誘いしたところ、ナス先生が山登りにはまってしまったということで、数年前には富士山を登られたとのこと。
その次のグループは、最年少の二人。
トモちゃんとチカラさん。
さすがに体力に余裕があり、チカラさんは歩いてはしゃがみこんで、レンズ付きのカメラをさまざまなアングルに向けて、いろいろなものを撮っています。
そして、日本の山でガイドをしているヤスコさん、同期のマーちゃん。
ヤスコさんはこの巡礼の前に、「準備ウォーク」を企画してくれ、ちゃんと長い距離をしっかり歩けるようにとマーちゃんらと訓練されてきたのでした。
さすがプロの登山ガイド。
歩く姿がしゅんとされています。


最後を守るのはトモコさん、ハルちゃんとわたくし。
あれこれお話をしながら、時々遠くを歩くケイさんやヤスコさんを確認しながら、どこまでも続くなだらかな登り道を歩んだのでした。
アロックさんとスーリヤさんは、長くなった隊列のあちこちを歩いて、それぞれをケアしてくれました。
こまめに休憩をとりました。
水分を補給して、おせんべいやナッツ、干しブドウ、皆さんが持ってきた思い思いの行動食(というのだそうです)、おやつを食べます。
互いのペースを合わせ、身体を気遣い、山を知っている人は知らない人に教えます。
リュックサックの背負い方、歩くペースの保ち方、トレッキングポールの使い方。
わたくしは、リュックを固定する腰と胸のベルトをしっかり装着したほうがよいことをハルちゃんに教わったのですが、休憩の度に外してはそのままにして歩いているのを発見され、その都度指摘されるのでした。
そう、日本を出発して早5日目。
デリー、リシケシ、ウッタルカシ、ガンゴートリと泊って、ゴームクを目指すわたしたちは、すっかりチームになっていたのでした。
そう、目標はみんなでゴームクへ到達すること。
そして、元気で日本に戻ること。
さらには、巡礼を満喫すること。
暑いなと思ったら、雲が山から下りて、涼しい風と雨で冷やしてくれました。
ところどころに沢があり、天上からの水で顔を洗いました。
ガンガが変わらずゴーっという音とともにはるか下を流れ、「ヒマラヤのトゥルシー」と呼ばれる香草が香り、野ばらが揺れる天国をわたしたちは進んだのでした。
人生は巡礼。
スワミ・カーティケヤンジのおっしゃった言葉が、ずっと心にありました。
<その6へ続く>

