マンゴー通信 – ヨーガやインド、心と身体の健康などに関すること。 – 友永ヨーガ学院
19.1.11
144号
友永乾史
(友永ヨーガ学院理事、マンゴー通信編集長)


What's Mango Express?~マンゴー通信のご紹介~

 ただひたすらマンゴーを食べるときのようにヨーガを味わって欲しい、インド原産のマンゴーのように多くの人に愛されたい、そんな気持ちで書いています。ヨーガやインド、心と身体の健康などに関することをテーマにほぼ毎週アップします。

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第144号 日本をヨーガ(6)


では、どうしたら「自分の存在を深く掘っていくこと」ができるのか。

 

一言で言えば、「ヨーガをすることによって」ということになってしまうのですが、この場合の「ヨーガ」とは、繰り返しになりますが、何かアクロバティックなポーズをとることとは違います。もちろん、そうしたヨーガも自分を深く掘っていくために、自分と向き合うために行うのであれば大いに役に立ちますが、何か他の目的のために行っても、それはその目的には叶うかも知れませんが、自分を深く知っていくこととはまた違うことをしていることになると思います

 

私たちは非常に多くの時間を世間で過ごします。家にいても、仕事をしたり、スマホをいじって世間の情報を仕入れたり、自分のことを世間に知らしめたりします。そのように外に目が向いている間は、自分の存在は目に入りません。ある男性がヨーガのレッスンに見えて、「あ、自分には身体があったんだ」とおっしゃったのが非常に印象的でした。忙しいと、今日の予定、明日の予定、あの人にメール、あの人にお礼をして、あの人にプレゼントを買って・・と、自分のことをふりかえる余裕がありません。

 

「日本のヨーガ」で書きましたが、日本人は特にこの傾向が強いと感じます。そして前号にも書きましたが、疲れてしまっている。疲労が積もりに積もってしまって、もう生きていること自体が嫌になってしまう人までが結構な数いるのが今の日本ではないでしょうか。

 

先にも書きましたが、日本には自分の存在を深く掘るためのヨーガが、たくさん花開いた国でした。茶道や、華道、職人の道。日々の生活、仕事のうちにより効率的に、より高く、あるいは深い見地から自分を、周囲を見ることを尊び、実践していく人が多くいたと思います。今は、その数が減ってしまい、あるいは、そうした日本のヨーガが精神論に陥ってしまって、ヨーガの力が働いていないのではないかと感じます。

 

そんな私たちが自分を取り戻すには、そして、自分の存在を深く掘っていくには、まず自分のために時間をとることは非常に大切であることを、自分によく言い聞かせることだと思います。何も脚を組んで背筋を起こさなくても、ゆったりとした椅子に身体を休ませて、まず肩の力を抜いてみる。自分の呼吸を感じ取ってみる。さまざまな想いが去来すると思います。それぞれをただゆったりと眺めて、それらが起っては去っていくのを眺めます。

 

あるいは思い出したくない事がそこから離れて行かないこともあると思います。そうなったら、本当は自分はそのときどうしたかったのか想像してみる。そして、それが思いついたら、今度はそうしようと肚に決めて、それでおしまいにしようとする。あるいは、自分に礼を逸したことがあったらのならば、あらためて手紙をしたためてみる。

 

肩が凝っていたら、自分なりにどうほぐしてよいか考えて、心地よい方に動いてみる。腰が固まっていたら、腰がどう動かして欲しいかを聞いてそのように動いてみる。

 

自分の状態をよく知って、疲れていたらよく休ませる。困難に当たっていたら、その場を守れるように、あるいは信頼できる人に頼れるように、自分をいたわり、励まし、自分を柔らかくさせる。

 

あるいは、前からしたかったことがあったら、それを行う。「やらなければならないこと」とは違う、「やりたいこと」をやる。*1

 

もし日本に住む人が一日に10分でもこのような時間を取ることができれば、大きく今の状況は変わるでしょう。

 

次号からもう少し詳しく、ヨーガを行うことがどうして、自分の存在を掘っていくことになるのか、そして、日本がヨーガをしていく。つまり、日本に住む人がヨーガを身につけて行くと、どういった効果によって今の状況が好転していくと考えるのかを書いていきます。

 

 

*1 こうした、自分と向き合う時間をとる際、お医者様にかかられている方はご相談の上行ってください。とても難しく感じられる方は一度、友永ヨーガ学院へ体験のレッスンにおいでいただければと思います。

 

「東京物語」より 世間ばかりに気の向いていく娘と父