マンゴー通信 – ヨーガやインド、心と身体の健康などに関すること。 – 友永ヨーガ学院
18.12.23
141号
友永乾史
(友永ヨーガ学院理事、マンゴー通信編集長)


What's Mango Express?~マンゴー通信のご紹介~

 ただひたすらマンゴーを食べるときのようにヨーガを味わって欲しい、インド原産のマンゴーのように多くの人に愛されたい、そんな気持ちで書いています。ヨーガやインド、心と身体の健康などに関することをテーマにほぼ毎週アップします。

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第141号 日本をヨーガ(3)


お釈迦様も、ヨーガをされていました。

 

「バラモン、沙門を含めて、思想界全体には精神統一としての禅定ないしヨーガが重視されていた」(「アジア仏教史 インド編Ⅱ」1975年 佼成出版社)

 

お釈迦さまの悟りの内容は、つまるところ、私というもの、その本質はこの宇宙と変わらない、私は無く、空であるということ。

 

ヨーガの至る悟りも、個人のアートマン(魂)は、この宇宙の原理であり、魂であるブラフマンと同様ということ。

 

この二つの悟りの内容、違うと言えば違うかもしれないけど、同じと言えば同じ。禅定つまりヨーガを経て至ることのできる、私たちの心が体験できる至上の境地のことです。

 

ご存知のとおり、お釈迦さまは王族の出。バラモンではありません。その教団は非常にパワフルで、バラモンたちも次々と改宗して教団に加わります。当時次々と成立したヴェーダの注釈書にも、クシャトリヤ(武人)や、女性が登場して、その話をバラモンが学ぶという構図が出てきます。

 

バラモンなしには神々への願い事は聞き入れられないという時代から転じて、誰もが、その本性は神なのだというのが人々の間で、あけすけに語られていきます。

 

このあたりからバラモン教は解体し、インドの宗教、ヒンドゥー教と呼ばれるようになっていきます。

 

これはどういうことなのか。

 

ざっくりまとめてみようと思います。

 

遊牧民がインダスを超え、ガンジス流域まで進んでインド化し、鉄器の使用とともに農業生産が高まった頃、氏族を中心とした都市と国家ができた。

 

この頃になると、たくさんの種類の職業が増えくる。

 

農民は大きくは変わらないまでも、税を取り立て、運搬し、管理する人。領土を守る兵士。先の上棟式にみたような、大工そして陶工、さまざまな職人も増えてくる。この頃には貨幣もあったので、貨幣を作製する人、管理する人、そしてそれを貸す金利業者。取り立て屋。王族や裕福な商人に使える使用人、教師や音楽家、舞踏家などなど。

 

そして、大きなストレスが生まれます。狭い範囲のことばかりしていると、生きるということの全体像が見えづらい。生かされているという実感がない。それまで雲や風や太陽の光の中にあった神の力は、大きな社会の中、果たさねばならない役割の重さを耐えている身には感じられなくなる。牧歌的に神を讃える歌やさまざまな呪文より、さまざまに沸き起こる不安や悩みを克服して、自分の本質に生きることを助けるヨーガが重要になってくる。

 

ストレスにさいなまれた一番の人。その一人がお釈迦さまでしょう。何不自由ない暮らしの中、老い、病んでは死んでいく人たちを見て、なぜ人は生まれ、生きるのかを深く悩まれました。お釈迦様の名前の由来となったシャカ族の国は、隣国、コーサラ国の属国で、いわゆる大国はありません。王になれば、日々の食事や住む場所、結婚相手には困らなくても、務めなくてはならないさまざまな儀式、外交上の儀典、軍の最高司令官としての責任、いわゆるまつりごとすべてに神経を使わないといけません。そんな小国の王座は日々近くなってくる。

 

そこで若き王子は跡取りを残した後、出家をします。

 

当時、出家は珍しいことではなかったらしく、沙門という名前が、いわゆるバラモンの生まれでない出家者についていました。

 

社会が複雑になっていく中、ストレスのかかった人たちは、ヨーガを求めた。

 

ヨーガはそれに応えて、悩める王子からお釈迦さまを新たに生み出した。

 

それから地球が太陽の周りを2500回ほど周った今、これだけ情報量が増えて、社会はより複雑になって、結構なストレスがあると思われるのに、ちゃんとヨーガは届いているのか。

 

ここに、私がお伝えしたい「日本をヨーガ」したいという思いのみなもとがあります。

 

 

国宝・獅子狩文錦 法隆寺に聖徳太子によって遺されたとされる織物。非常にインドっぽい図案に見えるが、それもそのはず、インダス河まで領土があったササン朝ペルシャの図案。その図案が中国で織られたらしい。仏教の伝播とともにさまざまなものがもたらされたことが分かります。織物について詳しく知りたい方はこちらへ → http://bit.ly/2V3P46i (写真はNHKBS「秘宝復元 法隆寺・聖徳太子の錦」より)