マンゴー通信 – ヨーガやインド、心と身体の健康などに関すること。 – 友永ヨーガ学院
18.11.3
135号
友永乾史
(友永ヨーガ学院理事、マンゴー通信編集長)


What's Mango Express?~マンゴー通信のご紹介~

 ただひたすらマンゴーを食べるときのようにヨーガを味わって欲しい、インド原産のマンゴーのように多くの人に愛されたい、そんな気持ちで書いています。ヨーガやインド、心と身体の健康などに関することをテーマにほぼ毎週アップします。

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第135号 日本のヨーガ(7)


大きな移動の少ない、侵略の危険も少なかった日本という国土には、地震や津波、台風などの天災が頻繁に訪れました。そんな私たちのご先祖様の日々の生活の中に、仏教の教えがさまざまな形で溶け込みました。護摩行(ホーマ、ヤジュナ、プージャ)があり、声明や念仏、真言(マントラヨーガ)、阿字観、座禅、瞑想(ディヤーナ)、踊念仏(キールタン)という形で伝わったその教えは、インドにはない、そこにいるだけで瞑想に入れるという禅の庭を生み出しました。茶道や華道など、だれでも形を身につけて行くことで心を落ち着かせることをできるようにしました。そういった息づかいと空間は、昭和のすぐそこまで一般の家庭にも漂っていました。

 

「苦行、読誦、自在神祈念の三つを行事ヨーガという。行事ヨーガの狙いは、三昧の心境を発現することと、煩悩の力を弱めることにある。」

(ヨーガ・スートラ 2-1、2-2 佐保田鶴治訳『ヨーガ根本経典』)

 

己に克つ克己心こそ貴いものとされ、荒々しい心を鎮めることのできる力が自然に身につくような環境に置かれてきたと言えます。つまりは、ヨーガを身につけた人が称賛されてきたわけです。また、限られた範囲の緊密な関係性の中で、互いに心の動き、つまり気配というものを感じ取る能力が高くなりました。

 

こういった能力がよく働ければ、それはよいチームワークという形で発揮されます。1945年の敗戦から1964年のオリンピックまでは19年しかないのに、焼野原から新幹線と高速道路ができてしまった。それが今はどう働いているか。少し行き過ぎているところはないでしょうか。周りに同調するために、無理をしてしまい、しまには、自分というものを殺してしまい、実際に自殺をしてしまったり、過労死をしてしまうことが問題になっています。

 

海外から帰ってくると、表情を亡くして、息つく暇なくせわしなく働いているうつ傾向の方が多いのが目につきます。

 

こうした方々が、ヨーガのレッスンに出ると、「他の人がやっているから」、「先生がそのように言っているから」、と無理にポーズをとろうとします。うつの傾向にある人に一番必要なのは、質のよい休息です。そこへ導くための集中や緊張であればよいのですが、もうすでに十分緊張してしまっている人には、まずは心も身体もほっと寛いでいただかないといけません。ピーンと張りつめられた弦は、もうそれ以上引っ張れないのです。だから、まずは、弦を弓からはずして楽にしてあげないといけません。

 

日本のヨーガには、このステップが欠かせないと思います。(*1)

 

ヨーガの発祥地インドと、または、近年ヨーガが非常に発達してきたアメリカと比べても、日本人の、特に都会に住む人たちのこうした過緊張は著しいと思います。そして、日本という国が今後さらに失われないために、日本に住む私たち一人ひとりが自分をよく大切にしていくために、こうした過緊張を自分でほぐし、ゆるめることのできるヨーガがとても大切だと思っています。さらに一歩踏み込んでいえば、私たち一人ひとりがこうしたヨーガを身につけなければ、日本の再生はないと思っています。

 

 

(*1)ここを踏まえて教えられるヨーガの先生が非常に少ないのは残念なことです。数か月で養成コースを卒業をさせるとなると、どうしても形を教え込むしかなくなります。ある調査では、レッスンにいらした方の60%がなんらかの形でヨーガで怪我をしたとのこと。過緊張にある人が形を追えば残念ですがそうなります。最近私も耳にしたのが、近所で最近ライセンスをとったヨガの先生が、ママ友たちに非常に安い値段でレッスンをしているが、そこに行くと腰痛も肩痛もひどくなるので誘われるのが怖いという話。初めてレッスンを受ける時には、よく気をつけましょう。少しでもおかしいと思ったら、自分の身体の声を優先させることが大切です。

 

 

 

前回アシュラム(シバナンダ・アシュラム)にて修行をさせて頂いたときのアーサナの先生。ぐいぐい力強くアーサナを引っ張ってくれます。

アシュラムのクラスは、過緊張のない若い男性がメイン。旅行者も来ますが、写真は地元の男子。元気で健やかです。