マンゴー通信 – ヨーガやインド、心と身体の健康などに関すること。 – 友永ヨーガ学院
18.10.12
132号
友永乾史
(友永ヨーガ学院理事、マンゴー通信編集長)


What's Mango Express?~マンゴー通信のご紹介~

 ただひたすらマンゴーを食べるときのようにヨーガを味わって欲しい、インド原産のマンゴーのように多くの人に愛されたい、そんな気持ちで書いています。ヨーガやインド、心と身体の健康などに関することをテーマにほぼ毎週アップします。

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第132号 日本のヨーガ(4)


日本のヨーガにしろ、米国のヨーガにしろ、インドのヨーガにしろ、目指すのは心がシーンと静まりかえった境地である。明鏡止水。神道でもご神体は鏡のところが多い。

 

それをインドでは、「心が消滅した人は、水晶の如く、辺りのものをそのまま、歪むことなく映し、見る者、見る過程、見られるもの(対象)が一つになった状態」(1-41 ヨーガ・スートラ 真下尊吉訳)と表す。

 

世界中の人がその静けさを尊重してきたが、日本のそれは、禅として、あるいはわびさびの世界として世界に知られるようになった。サムライもニンジャも、スシもキタノブルーも、アンドーも、つまるところはこの、心の静けさに通じる。

 

柔道、空手道、弓道、書道、茶道、華道、香道、野球道、職人道、仕事道。なんでもそこに道を見て、生業を修行とする。そこを極めた人を導師として、ひたすら学ぶ。ひたすら、無心に学ぶことが称賛される。

 

「あなたの職務は行為そのものにある。決してその結果にはない。行為の結果を動機としてはいけない」(バガヴァッド・ギーター 上村勝彦訳)

 

日本のモノづくりが優れていたのは、この精神が生きていたからだろう。ソニー、ホンダ、イッセイミヤケ。商品の概念を解体して、ベルサイユ宮殿や大英博物館を作ってきた精神性とは違うところから、シンプルでタフな全く新たな提案をした。

 

残念なのは、この価値を言語化するリーダーのいなかったこと。メーカーにはあったかもしれないが、政治家に哲学者がいなかった。モノで世界を席捲した前世紀の末期、欧米の元気がなかったころ、日本は次の世界のモデルを提示できなかった。

 

そして失われた30年が過ぎようとしている。

 

なぜソニーはiPhoneを作れなかったのか。材料はすべてそろっていたのに。それは、ただひとえに、心のざわつきが原因だろう。スティーブ・ジョブスは瞑想をした。ソニーは、日本は、バブルで浮ついた心をそのままに、静けさを取り戻す行為、瞑想をしなかった。そこに価値をおかなかった。そういうことだと思う。そして、それは今でも続いている。このことはつまり、私たちの先祖が大切にしてきた、世界に通じる精神性を宿す肉体を作る、「日本のヨーガ」の必要性が高まっているということだとも言える。これは日本においても、世界においても。世界は鮮やかな多様性こそ未来。新しいことを始めたい人、「日本のヨーガ」をしましょう。

高尾山薬王院でいただける大山隆玄ご貫主のお言葉 薬王院ではヨーガの基となった護摩行が毎朝行われています