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前号からの続きで、菅野美穂さんがリシケシ、シバナンダアシュラムを訪れた際のNHKBShiの番組のレビューです。これを書き始めた途端、講師の一人からFAXが。今月の10月26日、いよいよ地上波で放映されるそうです。ヨーガな教え満載のこの番組、お勧めです。是非ご覧になってください。もちろん録画を。永久保存版として!
アシュラムでアーサナのレッスンをうけた美穂さんは、日本人女性のスワミ・ニルマラナンダジに手ほどきを受けます。「ヨーガは身体を忘れるためのもの」というお話に、深くうなずきます。
そして、我々の師、スワミ・ヨーガスワルパナンダジのところへ。私どもは、このスワミジには本当にお世話になっていて、何度も学院においでいただきました。一番初めにあったときのことを、今でも鮮明に思い出します。ヨーガの伝え手の家に生まれながら、まったくヨーガとは無縁の生活をしていた十代のころ、二日酔いで重い頭を引きずって、午前も遅くに居間に出て行くと、このスワミジが。オレンジ色の袈裟を着て、大きな身体、満面の笑み。「ハウアーユー?」と聞かれて、頭の痛いのもすっかり消散してしまい、「ファイン、サンキュー」と不思議に元気に答えてしまいました。
そのヨーガスワルパナンダジは、変わらぬ笑みを浮かべて、美穂さんのインタビューに。ギータの一説を紹介して、ヨーガの何たるかを説明してくれました。
河畔で気持ちよさそうにアーサナをする美穂さんのカットを随所に挟みながら、番組は進行していきます。ヨーガとは、決して揺らぐことのない心。俗世間を離れ、隠遁生活のうちに、ヨーガの伝統を受け継いでいたヨギたちのお陰で、私たちは今、こうしてヨーガを学ぶことができます。ヨーガを伝えることで、金銭を頂く私たちは、正しくヨーガを伝えていく責任があることに気づかせてくれます。「身体だけで終わってしまう人も多いけれどね」。ニルマラナンダジの言葉が心に残ります。
リシケシを後にした美穂さんは、一路ガンガ沿いを北上します。目指すはガンゴトリー。ガンガの源流のある聖地です。(※ガンガの源流・ゴモクへはここから1日トレッキングが必要。)
途中、ナレンドラナガールの小学校に立ち寄って、たくさんの生徒と先生たちの歓迎を受けます。何人かは、髪の生え際の中央の分け目に結婚のしるしの赤い粉が。子供は欲しくないの?と聞かれた、美穂さんは、「うーん、今は仕事が面白いので、5年後くらいに」との答え。このあたりのカメラワークが秀逸で、インドと日本の社会の違いを決定的に浮き彫りにしてくれました。かたや、教師として仕事を続けながら、妻として、母として楽しそうに仕事を続ける小学校の先生たち。かたや、「5年後」という、インドでは、未来のまた未来のような先まで、予定をたてる日本の女優。本当に幸せなのは、どっちなのでしょう?セレブリティーの大変さも垣間見てしまった気になりました。
さらにガンガ沿いの山道を進む一行を待ち受けていたのは、土砂崩れ。もうこれ以上車では進めません。ここで私が一番笑ってしまったシーンが。ダイナマイトを仕掛けて、土砂を突き崩そうとするのですが、導線に火をつけたインド人が、思いっきり、カメラのほうにダッシュしてきます。その恐怖感と真剣さが画面から伝わってきます。そう、こういった漫画のワンシーンのような光景が、インドでは日常にあふれているのです。愛すべきインド人像です。導線を長くするとか、無線の機器をつけるとか、まだまだそういった方面では遅れているインドです。精一杯仕事をしている人を笑うのは、不謹慎かもしれませんが、映像からは喜劇が伝わってきてしまいました
もうこれ以上上流には進めず、ひとつの番組として、なんだか消化不良のまま来た道を戻るクルー。ここで、日本の公共放送、NHKが、昔の「電波少年」のようにスワミ・チダナンダジに突撃取材です。安静に隠遁されている庵の門をコーディネーターと、美穂さんがノックします。事情を説明すると、手伝いの僧が取り次いで見ますとのこと。
待合室の美穂さんの表情が、素晴らしい。さすが日本を代表する女優さんの一人。不安と期待に押し迫られた切ない情感にこちらも感化されてしまうほど。結果、スワミ・チダナンダジは、自室の扉を開いてくれました。
「私に何かできることはありますか?」最高にクールな問いかけで始まった短い対面は、是非テレビでご覧下さい。ちなみに私、テレビに向かって初めて手を合わせてしまいました。
シバナンダアシュラムを、ヨーガの何たるかを、そして、肉体は老いていくなか、霊性として輝き続け、人間としての尊厳を顕し続けるヨギの姿を見事に伝えてくれた番組でした。
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