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朝食の後、また同じ道を引き返してトレッキングの集合場所へ。そこで蛭除けになる脚半のような大きな靴下を靴と本来の靴下の間に履きます。湖の入り江に面するこの小屋からは、まず小さな、ほとんど沈みかかっている筏で、入り江の対岸まで渡ります。ここでかなり冒険心が高揚します。
渡った後は、湖と山を眺めながらガイドの後を歩いていきます。このガイドは黙々と歩く人で、普段出遭うよくしゃべるインド人とは少し感じが違います。この野生動物保護区はもちろん動物の捕獲は禁じられていますが、現地に住むネイティブの民族だけは、ある程度の狩猟は認められているらしく、途中で釣りをする人々にも出会いました。フナに似た魚が魚籠に入っていました。
しばらく湖畔を歩いてから、森へ入っていきます。象の糞が落ちていたり、いのししが遠くで群れていたりだんだんサファリっぽくなってきます。おそらくは、湖が増水するとすぐに水浸しになってしまうだろう低地帯と、すこし標高の上がる森林帯との境をずっと内陸のほうへ入っていくと、ガイドが私たちに静かにするよう注意しました。象がいるといいます。私たちはもちろんどこにも何も見えません。ただ言われたとおり、足音を潜めて、ガイドの後についていきます。ブッシュの裏に入って、ガイドの指差す方向を見ると、遠くで象が一匹草を食んでいます。尻尾をピシピシ使って自分の尻をたたきながら、草を一心に食べています。あまりに遠いので、集中していないとよく動きが見えません。もう少し近いところに移ろうと、湿地を避けて遠回りして象の背後に回ります。今度は写真にも十分写るほどの距離です。バリバリ草を食べる音が聞こえてきそうです。もうこれ以上近づくのは危険だということで退散して、さらに森深く入っていきます。
森深くといっても観光客が多く入ってきているため、足元は十分に踏み固められて、スニーカーで十分歩けます。ところどころに野生のスパイスが生えていて、ガイドはそれを教えてくれます。プランテーション栽培されているシナモンや胡椒の原種となったものです。ヒヒが樹上で群れる下を通り過ぎ、きれいな水が流れる沢のほとりに近づくと、ガイドがしゃがんで足跡を指差し、廻りを見渡します。虎の足跡で、そんなに前ではないそうです。大きな虎のはずだということですが、木漏れ日とせせらぎの中、ぜんぜん恐怖感は沸いて来ず、是非対面したいと思いましたが、とうとう最後まで姿を現してはくれませんでした。最後にまた筏で対岸に渡してもらい、脚半を脱いでガイドとはさよならです。
運転手アレックスに「象が見えたよ」 と話すと、「象だけですか、虎は?」 と聞き返されてしまいました。結構な頻度で虎を見られることがあるようです。
小さい頃からテレビシリーズの「野生の王国」や、動物園でしか見たことのなかった大きな動物が、人間の保護なく、彼らの才覚だけで生き延びているのを実際に見ると、自分も頑張らないといけないと思うのでしょうか。なんだかじんわりといい気持ちになります。
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